「園長先生、被害者のナツコちゃんの事なんですが・・・どんな子でした?」


「・・あの子はとても純粋で良い子でした。


うちは児童養護施設だけでなく、

“障がい者支援施設”もありますので、
障がいを持った子も多くいます。


偏見の目で見られがちな子達にも、
ナツコは差別無く接してくれていました。

だからこそ、ミハルをお姉ちゃんのように慕っていたんだと思います。」



「そうですか・・。

最近、彼女から何かトラブルや人間関係の相談を受けたことはありますか?

今回の犯人、ナツコちゃんに相当な恨みを持っていたようでして・・。」


「いや・・私は少なくとも聞いたことありません。

あの・・うちのスタッフに“三浦サトシ”という子がいまして。

もしかしたら彼なら何か知ってるかも・・。」


「ナツコちゃんと親しかったんですか?」


「ええ。
彼も元々はこの施設で育った子でして。

ナツコだけじゃなくてミハルとも。

サトシ、ミハル、ナツコは幼馴染みの3人なんです。」


「分かりました。
あとでサトシ君にも聞いてみます。

じゃあ私達はこれからミハルちゃんと話・・。」


「あ・・。」



・・・・ん?


園長先生が“ハッ”と窓の方を見て、
“少しお待ち下さい”と声を掛けてきた。


そのままそっちへ歩き出し、窓を開けて冬の北風が部屋に入り込んでくる。