「川辺課長ですか?」


「ああ・・・・。」


「何て?」


「上の人達の間で、

『ミハルちゃんを警察病院に移すべきだ』
っていう意見が出てるらしい。」


「まぁ・・・そういう意見が出るのもしょうがないですよね。

今のところ、彼女は俺達が握っているたった一つの“手掛かり”ですから。

犯人だってバカじゃないだろうから、
ミハルに“目撃された”と思って、

彼女の口封じに出る可能性だって0じゃない。」


「あの子をそんな危険な目に遭わせてたまるかよ。」


「お・・着きましたよ。
・・・でっかいなー。」



しばらく車を走らせ、

俺達の眼前に、“ここは大学か?”と思わせる程の広大な敷地と建物が現れた。


児童養護施設“まごころの家”の駐車場に車を停め、建物の入り口へと向かう。