「ハァハァ・・ハァハァ・・
・・手間かけさせるなよ。」


「・・・・・ハァ・・ハァ・・・。」



息を整わせつつ待っていると、

ようやく真田さんが両手をポケットに入れた状態で俺達の所に歩いてきた。



「やっぱお前は足が速いな。」


「それは・・ハァハァ・・
どうも・・ハァハァ・・。」



なかなか息が整わなかったので、

座り込んでいた山田を立たせて、
真田さんの正面に突き出す。


「山田君よ、なんで逃げた?」


「俺は何も知らねぇよ!!」


「“何も”って何が?

俺達は君が“信号無視をした”という通報があったから事情聴取に来ただけだぞ。」


「え・・・ナツコの事聞きにきたんじゃないのか?」


「・・・・・・・。」


「ウグッ・・!」


真田さんが山田の腹に右手で軽くパンチする。


こんな子供騙しみたいな尋問に引っ掛かってくれるとこちらとしてもやりやすい。