「ミハルが通りまーす!
道空けてくださーい!!」


「なっちゃん、恥ずかしいから大きな声出さなくてもいいよ。」


「・・!?ミハルちょっとストップ。」


「・・?」






「あぁぁああおあ!!!」


「こらタロウ!
物食べながら走り回るな!!」






「タロウちゃんがまた暴れてるの?」


「相変わらずだねぇ~。
今日も中原先生と鬼ごっこしてる。

ミハルにぶつかったら危ないのに・・。」


「大丈夫だよ。いつもタロウちゃんは私の事避けて暴れてるから。」


「変な事されない?」


「うん。“知的障がい”って言っても、

タロウちゃんは軽いほうだって中原先生が教えてくれた。

いつも暴れてるけど、
ホントはすっごく優しいんだよ。」



園長先生や中原先生が“白杖”の使い方を教えてくれて、

1人でも歩けるようにと小さな頃から訓練してきたけど、

やっぱり誰かが傍についてくれた時の安心感はとても大きかった。



なっちゃんに手を引かれながら、孤児施設の方へ遊びに行くのはいつも楽しみだった。