「長さん、他に分かったことありますか?」
「被害者は菊池ナツコで間違いない。
かろうじて残ってた歯形が、彼女が通っていた歯医者の治療記録と一致した。
あと、死体の傍に落ちてた長細い棒も、
金属バットだったと断定。
凶器はこいつだわな。」
長野さんからの口からは新情報・・というよりは、既に分かっている事が改めて告げられるだけだった。
「どっから手を付けましょうかね・・。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
真田さんはポケットに手を突っ込んだまま、長野さんの顔をじっと見ている。
「なんじゃ真田?
ワシの顔に何かついとるのか?」
「長さんって鑑識になって何年でしたっけ?」
「今年でちょうど30年。
お祝いは定年迎えた時でいいぞい。」
「金属バット使ったことあります?」
「こう見えても、
高校時代は王・長嶋に憧れて、
坊主頭で毎日グランド駆け回っていたんだぞ。・・まぁ補欠だったけど。」



