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「絶対“卵”ですよ。」


「いや、俺は“厚揚げ”だ。」


「いやいや。厚揚げが無くても“おでん”は成り立ちますが、

ゆで卵が無くちゃ“おでん”とは言えませんよ。」


「分かってねぇなぁ小西は。

いてもいなくてもどっちでもいい、厚揚げが醸し出す“良さ”ってのがあるんだよ。」




捜査が一段落して、
昼から何も食べていなかった俺達は、

コンビニの駐車場に車を停め、
中で購入したおでんを食べていた。


冬の、そして寒さが厳しければ厳しい夜ほど、コンビニのおでんがめちゃくちゃ美味く感じる。






“プォーーーーーーーーーン
プォーーーーーーーーーン“



最後に食べようと大事に残しておいた、
ゆで卵を口に入れようとした時、

遠くの方から消防車のサイレンが聞こえてきた。


「・・火事・・か。」



“プォーーーーーーーーーン
プォーーーーーーーーーン“



やがてサイレンの音が大きくなり、

俺達が駐車していたコンビニの前の道路を消防車が2台通り過ぎていった。