「長さん。」


真田さんが鑑識作業を続けていた、
ベテランの長野さんの方を見た。


「死体について何か分かったことありますか?」


「・・・頭蓋骨が陥没しとったよ。
酷いことするもんだな。」


「・・・・・・・。」


「死体の状況から見て、この子は鈍器でめった打ちされた後に火をつけられたってところだわな。」


「じゃあ・・こいつは金属バットって所かな。」


「帰ったら念の為調べてみるよ。

ほれ、被害者の身元。
財布はかろうじて燃えずに残ってた。」



長野さんがパケ袋に入れられた免許証を俺達に渡してくれた。


「被害者の名前は・・【菊池ナツコ】。」


「昨日20歳の誕生日を迎えたばっかりじゃないですか・・・。

来月の成人式楽しみにしてただろうに・・・・。」


「それにしても、建物が全焼しなかったのは不幸中の幸いだったな。」


「ですね・・。他の住人に被害が出なくて良かったです。」


「それもあるし、現場もある程度はこうして検証できるし・・・・なんでこんな通報が早かったんだ?」