“ガチャリ”


「・・・・ただいま・・・。」


玄関を開けて一歩入ったと同時に、

靴を踏んでしまった触覚が伝わり、
慌てて足をよける。


でもそれで、やっぱりなっちゃんは先に帰っていたんだとはっきりした。


「なっちゃん・・・ただいま・・・。」


靴を脱ぎながら、何の反応も無いリビングの方へもう1度声を掛ける。





「・・・・・・ハァ・・・・ハァ・・・。」



「・・・・?」

違和感をすぐに感じ取った。


両耳の鼓膜が誰かの息づかいを捉える。


・・・・・男の人・・・?


「サトシお兄ちゃんもいるの?」




「・・・・・ハァ・・ハァ・・!!!!!!」



手で壁をつたいながらリビングへと向かう。


すごく・・暑い・・・。


一歩近づく度に、外の寒さを忘れるぐらいの暑さが全身を包んだ。


いくらなんでも、
暖房の温度上げすぎじゃないかな?