“ガチャリ”


その時、俺達がいるほうの部屋が開いて、
鑑識の長野さんが入ってくる。



「いやぁ~今回は“人海戦術作戦”を提案したワシの手柄じゃな。」


「小西の背広を調べようと思いついたのは、それがヒントになりましたからね。

ありがとうございます。」


「とにかく一件落着して良かったわい。

・・せっかくお前達の手助けになるかと思って苦労しながら作ったのにな。

ほれ。」


長野さんが一冊の資料を俺達に渡してきた。


「お前たち部屋飛び出した時、
これ持って行くの忘れたじゃろ?

もう必要無いと思うけど、頑張って調べたんだから一応目だけ通しておいてちょ。」


「ああっと・・・すみません長さん。
完全に忘れてた。

じゃあありがたく頂きます。」


「またコーヒー飲みたくなったらいつでも来い。」


俺達の肩をポンと叩いた長野さんが部屋を出て行く。




確かに・・・・今回、
決め手となったのは“指紋”。

改めて鑑識班の偉大さを痛感させられた。



再び取調室に目を移すと、

早苗さんが相変わらず優しくタロウに声掛けして、タロウもしどろもどろに答えていた。