早苗さんはさすが、人心掌握を心得ている。


タロウは最後の質問に“ウンウン”と頷いた後、また自分の爪を噛み始める。



「いやぁ~お手柄だったな小西。」


川辺課長が取調室から俺へと目線を変えて、
背中をバンバンと叩いてくれた。


「よし、木暮タロウを菊池ナツコ殺害容疑で改めて立件するぞ。

逮捕状を請求してくる。」


川辺課長が満面の笑みで部屋を出て行った。






「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」



でもそれより・・・

ずっと取調室から目線を外さない、
真田さんの表情の方が気になった。


なんだかんだ付き合いの長い・・
この人の顔を見ればすぐ分かる。


“スッキリ”じゃなくて、
“モヤモヤ”がそこには現れていた。