あんなに大切な物、言葉。

晴に初めて貰ったプレゼント、言葉。

お菓子の付録についてるような小さな指輪。

その時は結局返しちゃったけど晴が昔はめてくれた。

あの桜の木の下で。

私はそっと左手の薬指にはめる。

「は、はいら、ないじゃっ、」

泣きながら、笑いながら言う私にそっと晴が声をかけてくれた気がした。

あの時の言葉をそのまま。

私は首を振った。

違うんだもん。

それは私の言葉。

私が言うべき。

いや、言わせてよ。