名前の隣にそっと桃の花のイラストが添えられていた。

手紙のあちこちに涙のあとがあった。

それを私は増やしてしまう。

その水たまりで何年も前の文字が浮び上がる。

文字が生き返る。

途端に風が吹いた。

桜の花が大空を舞った。

それと同時に箱の中から何かがカランと音を立て落ちた。

必死に涙を拭き足元に落ちたそれを拾い上げる。

「っ、う、、、、、、」

涙が止まらない。出そうな声を必死に抑えた。

私はどこまで忘れてたんだろ。