『はい!泣き止んで。』

『え、あ!うん。』

『それ、、、あげる。』

『こんなに綺麗なハンカチ貰えないよ。』

『いいのいいの。昔ねママが言ってたの「これは大事な人、いや。あの空を一緒に見たいって思った人に渡すんだよ。」って。』

『僕でいいの?』

『うん!だってさこんな綺麗な空ないでしょ。顔上げてよ。』

その時あげた君の顔忘れられない。

初めて空を見るような顔だった。

きっとなんてことないただただひろい青空だったんだと思う。

けどその空は私たちにとっては忘れられない恋の始まりの空だった。

お母さんが届けてくれた、教えてくれた空だったんだね。

君はあの日のこと多分覚えてないね。


「だから何?」

やっと話せるくらいになった君は私の目を真っ直ぐ見た。