とりあえず部屋に戻った私達は、どうせ無駄だと思いながらも、クローゼットをもう一度開けてみた。

クローゼットの中は、やっぱりそらくんの家の玄関に繋がっていた。

あれ?そういえばクローゼットの中の私の服、どこ行っちゃった?

……いや、考えてもわからないから、一旦保留にしよう。

そして、私がやっても、そらくんがやってみても、やっぱり目に見えない何かに弾かれてしまって、クローゼットは通れそうになかった。


どうしていいかわからないし、とにかくとても寒いから、私達は仕方なく、またこたつに入った。

「あ、みかん食べる?」

「うん、もらうー」

もう夜中の3時。

つけっぱなしのテレビでは、通販番組が放送されている。

カーナビが激安って言ってるけど、私車持ってないから、安いのかどうか全然わからない。

「あはは。帰れなくなっちゃった」

みかんを剥きながら、そらくんがヘラッと笑って言った。

笑い事じゃないけど、どうにもならないから、もう笑うしかないという気もする。

とりあえず今わかっていることは、私は家から出られるけど、そらくんは私んちから出られないってことだ。

あれ?

てことは……しばらくの間そらくんは、私の家で暮らすってこと?

「なんかごめん。一人暮らしの女の子の家に、しばらく厄介になるみたい」

うん、やっぱりそういうことだよね。

まあでも、こんな状況だし、他にどうしていいかわからないから仕方ない。

「あー、うん。それは大丈夫」

「あ!俺、ちゃんとこたつで寝るから」

「あはは、ありがと」