「ここ、縁結びの神様だったんだな」

「すごいご利益あって有名なんだって、お母さんが言ってたよ」

「へえ……」

そらくんは少し考えて、それからまた口を開いた。

「前にさ」

「ん?」

「ゲートが繋がったのって、うさぎちゃんに出会うためかな、って言ったじゃん?」

「うん」

「でもそうじゃなくて、小さい頃のお願い、縁結びの神様が叶えてくれたのかもな」

それって、そらくんのお嫁さんになるために再会したってこと?

「もしそうだとしたら、すっごいロマンチックだね」

そうなのかもしれないし、そうじゃないかもしれない。

やっぱり全然わからない。

でも1つだけわかることがある。

きっともう、ゲートが開くことはない。

だって私達は、もうこうして一緒にいるから。


「竹取物語ってさ」

「ん?かぐや姫のこと?」

「そうそう。あれって、お姫様が月に帰ってバッドエンドじゃん?」

「うん、そうだね」

「でも、うちのお姫様は、ちゃんと月から帰ってきたね」

「うちのお姫様?それ、私のこと?」

「うん」

「ふふ。だって私、お姫様じゃなくて、うさぎだもん」

「あはは、確かに」

そらくんは楽しそうに笑うと、

「お帰り、俺の可愛いうさぎちゃん」

甘ったるい台詞を吐いて、私をぎゅっと抱き寄せた。


あなたといれば、時間も空間も飛び越えられる。

バッドエンドな物語も、ハッピーエンドに変わる。

あなたといればいつだって、とびきり甘くて、最高にロマンチック。



~完~