Romantic love

「あれ、母さんいるー?」

「リビングにいるわよー」

陽子さんが少し大きめの声で答えると、すぐに私達がいるリビングのドアが、ガチャリと開いた。

「ねえ玄関に知らない靴あんだけど。誰か来て」

ドアの向こうから現れたのは、ミルクティ色の髪をした、今どきっぽい若い男の人。

「………………え」

その人はこちらを見るなり、その綺麗な瞳を、大きく大きく見開いた。

その瞳に見つめられた瞬間。


ドクンッッ!!


私の心臓が、壊れてしまうかと思うくらい、強く脈打った。

そして。


「……………………あ」


頭の中で突然、何かの記憶がフラッシュバックし始める。



『……きみこそ誰?』

『…………俺、うさぎちゃんのこと、好きになっちゃったんだよね』

『まじでね、すっげー会いたかった』

『キスしていい?』

『あー、なんか俺、すごい好きだわ』

『俺うさぎちゃんのこと、めちゃくちゃ好きだもん』


初めて出会った時のことも。

あなたがくれたたくさんの言葉も。

たくさんキスしたことも。

一緒にこたつに入って、アニメを観て笑ったことも。


『んじゃ、また明日』


最後に見た笑顔も。


「…………………………ああ」


全部、思い出した。

そうだ、私が会いたかったのは。