Romantic love

家を出るまでにはかなり時間があったから、ケータイをいじりながらダラダラとメイクしていたら、結局時間ギリギリになってしまった。

慌てて家を出ようとしたけど、玄関前ではっと気づいて、私は部屋に引き返した。

クローゼットの中のコートを取り出すためだ。

この真冬に、コートも何もなしで外に出ようとするなんて、さすがに慌て過ぎ。

クローゼットを開けると、コートやらジャケットやら、他にはワンピース、あとはクリーニングに出したばかりのセーター達が、所狭しと掛けられてあった。

そこから白いダッフルコートを取り出そうと、手を伸ばした所で、

「……………えっ???」

不意に頬を伝ったその液体が、自分の目からこぼれた涙だと気づくのに、数秒かかった。

……なんで??

なんで私、泣いてるの?

目に何かゴミが入ったのかもしれない、そう思いながら涙を手で拭ったけど、涙はあとからあとから溢れてきて、全然止まりそうになかった。

一体どうしたんだろう、私……。