明日になったらゲートは開かない。

でもこれからは、普通に会えばいい。

限られた時間の今なんかよりも、いくらでも一緒にいられる。

限られたこの部屋だけじゃなくて、いろんな所に一緒に行ける。

だから、今日が終わったって。

「明日さ、何時くらいなら家にいる?」

「んー、夕方……5時半過ぎには家にいるかな」

「まじで?じゃあ6時に会いに来ていい?」

「うん、いいよ」

明日学校が終われば、もうそらくんに会える。

ほら、今までよりいっぱい一緒にいられる。

「絶対に来てね、待ってるから」

それなのにこんなに不安なのは、きっとこの8日間の出来事が、頭のどこかで、夢なんじゃないかって思っているから。

「来るに決まってんじゃん」

「ほんと?約束だよ?」

「だーかーら!大丈夫だって」

そらくんはにっこり笑って、また私にキスをした。

「俺、うさぎちゃんのこと、めちゃくちゃ好きだもん」

そらくんは私を抱き締めたまま、耳元で甘く囁いた。

もしも、これが全部私の夢なら、きっと私の頭はわいちゃってる。

ハタチ過ぎたいい大人が、こんな甘ったるいロマンスを夢見てるなんて、ちょっと病気だと思う。

でも、病気でも夢でも幻でもなんでもいい。

そらくんが何者でもいい。

だから、お願いだから、このまま一緒にいさせて。

明日なんて来なくていいから、今日が永遠に続けばいいのに。