学校が終わってバイトに行って、家に帰ったのは夜の10時。

腹ペコだしクタクタだ。

帰り道のお弁当屋さんで買った、回鍋肉弁当を食べて、それからシャワーを浴びようと思ったけど、寒いからお風呂にお湯をためた。

のんびりお風呂に浸かりながら、昼間の授業中に考えてたことをもう一度考えてみた。

無駄だから考えないと思っているくせに、気になるから結局考えてしまうのだ。

1時間早まった理由について考えたって、やっぱりわからない。

そんな日もある、くらいで処理しても問題なさそうな気もする。

だけど……。

それでも気になってまた考えてしまうのは、なんとなく嫌な感じがするからだ。

だから今日、夜中の1時になって、いつも通りクローゼットからそらくんが現れた瞬間、私はなんだかとてもほっとしたのだった。

「会いたかった」

私が思わず言うとそらくんは「昨日もおとといも会ったのに?」と笑いながら、ちゅっと軽くキスをしてくれた。

「だって……」

「あれでしょ?昨日ゲート開いたの1時間早かったから、不安になっちゃったんでしょ?」

「うん」

「よくわかんねーけど、まあ大丈夫じゃん?だって俺、今日も普通に会いに来れたし。な?」

そらくんは優しく笑って、私の頭をぽんぽんっと撫でてくれた。

「なんかお兄ちゃんみたい」

小さい頃、誰かがよくこんな風にしてくれていたのをおぼろげに思い出して言ったら、

「だって俺、うさぎちゃんより、たぶん年上だし?」

そらくんは、得意気な顔をして言うのだった。

そらくんがその誰かだったらよかったのに。

ううん、その人じゃなくても、誰でもいい。

現実にいてくれたらいい。

そしたら、こんなに不安にならなくて済むのに。