「ねえうさぎちゃん」

不意に、そらくんが私を呼んだ。

「……?」

「……キスしていい?」

「…………いいよ」

私がこくりと頷けば、そらくんの顔が、ゆっくりゆっくりと近づいてきた。

目を閉じながら近づくその顔が、やけに色っぽくて、クラッと目眩がした。

私もそっと目を閉じる。

……柔らかい感触が、唇に軽く触れた。

ちゅっ、と小さくリップ音が鳴った。

目を開いたら、すぐ目の前にそらくんの顔があった。

視線が絡み合うと、そらくんは少し笑った。

心臓がきゅうっと締め付けられる。

愛しくて切ない。

そしてもう一度、今度は少し長めのキスをする。

「あー、なんか俺、すごい好きだわ」

「うん、私も。大好き」

そしてまた、キス。

こうして今日も、甘ったるい、夢うつつな夜が更けていく。

現実じゃなくてもいいから。

だから。

夢なら覚めないで。



──でも夢は、いつか覚めてしまうのかもしれない。

今日はなぜか、いつもより1時間早い、朝の5時にゲートが開いた。