「それはねあんた、芹沢真理に恋してるのよ!」

、、、恋?

私の頭には、クエスチョンマークが踊った

「こいってあの魚の、、、」
「それは鯉!」

佐藤が突っ込んだ瞬間、急に顔が赤く火照った

つまり私が真理君のことが好き

しかも幼馴染としてじゃなく、男の人として?

私は頭の中で「きゃーーー!」と叫んだ

真理君の事が好きだと意識し始めると、急に真理君のことばかり考えてしまう

「まぁ、私は気づいてたけどね。あんた自分では気づいてなかったから」

私は、真理君のことが好きだったんだ

今もあまり現実味がない

でも確かに、私は真理君に好意を寄せている

真面目なところも
最後まで諦めないところも
可愛いところも
笑うとエクボができるところも
パプリカが苦手なことも
優しいところも

全部全部、大好きだ

「私、告白してくるね」

佐藤にそれだけ告げると、私は真理君の方へ駆け出した

「あの子は告白を「ジュース買ってくるね」ぐらいの勢いで言ってたけど、告白の意味分かってんのかね」


私は廊下を駆け抜ける

夕日に照らされた廊下が、私の影を長く伸ばした

早く真理君に会いたい

この気持ちを早く伝えたい

すると靴箱で靴を履き替えてる真理君を見つけた

「真理君、待って!」

私は真理君を呼び止めた

それでも真理君がいなくなってしまいそうで、私は真理君に飛びついた。

「うわっ!何やってんだよ優希!」

真理君に久々に名前を呼ばれて、嬉しさで涙が出そうになった。

しかし、それを堪えて真理君の目を見つめた

「私、真理君のことが好き!」

自分の気持ちをどう言ったら上手く言えるのか

そんなことはどうでもいい

思ってることを一番に伝える

それが私だ

すると、真理君は頭をガシガシとかきながらため息をついた

「俺はお前が嫌いだ」

第一声がそれで、胸にグサリと突き刺さる

「意気地無しだし、好き嫌い多いし、馬鹿だし、声でかいし」

返す言葉がなく、私はウッと息詰まる

「人見知りなくせに人の心配ばっかするし、友達のことを一番に考えすぎだし」

でもどんどん声色が優しくなってる気がする

「笑ってるとことかまじ可愛いし、手振ってくれるのとか照れて何も言えねーし、お前の全てが反則すぎるし、その、、、俺もスキダシ」

最後の言葉が小さくて聞こえない

「真理君、なんて言ったの?」

真理君に顔を近づける

すると真理君は、顔を真っ赤にさせて私の唇に自分の唇を重ねた

(さっきのって、、、キス?!)

私が口をパクパクさせていると真理君は、私の目を見て口を開いた

「おれのほうが」

「おまえのことすきなんだよ!バーカ!」

真理君の顔が真っ赤に染まる

私も反射的に、顔を赤らめた

「私の方が好きだよ」

私はふにゃりと顔を緩めた

秋の風が私達の髪を揺らしていた