「それだから男なんか嫌いなんだっての…。」 ボソッと呟いたのを、市橋は聞き逃さなかった。 「嫌い嫌いって話したこともねぇくせに、文句ばっか言ってんじゃねぇーよ。冷徹女。」 あーはいはい。 「いい人ぶりっ子さんには分からないことよ。じゃぁね。」 パチンと手を振り払って、渡り廊下を後にした。