「なあ、お前ってさ。成田と仲良くね?」
「弥生?まあ幼なじみだからさ。普通に仲はいいけど。」


放課後の教室ー
その半分は朱色に染まり、半分は深い影の世界だった。

「そうじゃなくて、お前ら付き合ってたりとかしないのかよ。」
「弥生と付き合う?付き合っていないよ。付き合っているように見える?」

その境界線に僕たちは立っていた。
目の前にいる友人の顔は見事に朱色と影に分かれていて、僕は笑い出しそうな感情を懸命に、抑えていた。

「だってそもそもお互い名前呼びだろ?クラスでもお前ら仲が良いし、噂されてるぞ。」
「だから付き合っていないって。幼なじみだから仲がいいんだよ。」

さっきから、付き合っていないと言っているのに。
友人はしつこかった。
「でも‥‥でもさ、お前は成田のことが好きなんだろ?そうだろ?」