ニュースの記事によると、怪盗ユオはフランスのルーブル美術館から貴重な絵画数点を盗んだらしい。厳重警備がされていたのに、まるで魔法使いのように怪盗ユオはあっさりと絵画を盗んだそうだ。

「かっこいいよね〜」

そう言う友達の言葉に、アリスは「そうね」と頷く演技をする。

相手は怪盗。自分は探偵。相手は逃げ、自分は追いかけなければならない。決して好意を抱いていけない宿敵なのだ。

「……そろそろ、怪盗ユオ対策として依頼が来るかしら……」

アリスは、今にも雨が降り出しそうな曇天を見つめ、呟く。イギリスは、雨が多い。

一時間目は数学だ。友達の何人かは嫌そうな顔を見せる。

「わからないところがあったら教えるわ」

アリスがそう言って微笑むと、「本当!?アリス、大好き〜!!」と抱きつかれる。

チャイムが鳴ったので、アリスたちは席に着く。学校では事件は起こらないので、アリスはただの優等生だ。

今日も平和な一日が始まる。