ユオはそう言って、アリスを抱き上げ、夜空へと舞い上がった。

「きゃっ!急に飛ばないでよ!」

お姫様抱っこに顔を赤くするアリスを、ユオは愛おしげに見つめる。

「……私は、絶対に諦めません。あなたを必ず手に入れてみせます」

その宣戦布告に、アリスは笑みを浮かべる。

「なら、私もあなたを必ず捕まえるわ。必ずね」

「わかりました」

何十分も空の旅をし、ユオはアリスの家の近所にある公園に着地する。

「送ってくれてありがとう。次は、正々堂々勝負しましょう」

そう微笑むアリスの顎を、ユオは持ち上げた。

「……厳重に守られてある宝だからこそ、盗みがいがあるんですよ」

ユオがそう言った刹那、アリスの口に温かいものが触れる。

探偵に心を奪われた怪盗は、探偵の唇を奪って去って行きました。