合唱コンの朝練のため、いつもより早く学校に向かう。

「じゃあ合わせるよ〜!」

……大翔、まだきてないのかな?見かけてないけど

「みっきー、集中して?」
「直咲!?集中してます…!」

あ、噂をすれば……

……ん?

あれ、あれれ?

普段大翔は眼鏡をかけている。

なんで眼鏡してないんだろう……?

──────────────

今日もしてない。なんで?おかしい…

「コンタクト?」
「らしいよ〜」

隣のクラスの詩織によると、コンタクトに変えたらしい。

つまり、素顔が見放題ということ。

「神様ありがとう…」
「大袈裟だなぁ…」

眼鏡をしててもかっこいいよ?でもさ、外した時のギャップってすごくあるよね?あるよね!!!

1時間目は全体練習ということで、体育館に移動することになっていた。

「はーい、廊下に椅子持って並んでー歌う順番ねー」

ゾロゾロと人が出て行く。

「ねー鎌田さん、私たちどこなんだろ?」

知愛が不思議そうに尋ねる。

「ね!ソプラノだけど端っこだから入場は最初なのかな……?…とりあえず、後ろに行っとく?」
「うん!」

深絆と知愛は廊下の窓側に椅子を並べて座った。
その向かいの教室側に男子が並んでいる。

深絆はチラリと隣のクラスの様子を伺った。

…大翔いないかな。

さっきからコンタクトにした大翔を一目でもいいから見たい。そう願ってるのになかなか見れないでいる。

眼鏡を外した大翔はそれはもうやばいほどの破壊力だ。

しかも今日は合唱コンの練習だ。

つまり、ネクタイをしているということ!!!(※深絆はネクタイが好きです。

あーーーーもうそれだけで幸せ!

ふと、人の気配を感じ隣のクラスへと視線を戻した。

大翔がこっちをちらっと見ている。

あれ?こっちに来る…?

「ねぇーさたけー俺ここがいいー」

カタンと椅子を置いて雅葵の後ろに座った。

私の隣とも言える。

「?」

少し疑問に思ったが、近くに来てくれたことが嬉しくてすぐにどうでもよくなった。

「今更移動するの面倒だからここでよくない?」
「そうだねぇー!私ここがいい〜」

知愛の言葉に同意すると雅葵と大翔はすごくニヤニヤしていた。

心なしか大翔は嬉しそうに見えた。

「このまま授業なくてよくねー?」
「だよな、もうずっとこのままで」
「それいいね」

私もそう思う。でも、大翔はそれでいいの…?

でもちゃんと大翔はこっちを見てる。

なんでだろう、大翔が私を避けない…。

「なぁに鎌田さん、こっちチラチラ見てー」

雅葵がわざとらしく言う。

「………べつに…」

大翔の方を少し見ながら小さくそう呟くと、大翔と目が合った。
特に冷たい態度も見せず大翔は満面の微笑みでこちらを見ていた。

ど、どういうこと!?

私だって、ずっとここにいたいよ。

大翔が隣にいてくれるなんて幸せすぎるよ。

思わず私も笑顔になってしまう。

やっぱり、大翔はすごいな。

「鎌田と川越もこっち来い〜」

先生にそう呼ばれてしまった。

「えー…めんどくさーいいじゃんここでー」
「私向こう行くよー」
「えーーーー動くのやだぁぁー」

チラリと大翔の方を見るとクスクスと楽しそうに笑っていた。

「あーあ残念」
「本当なんのために来たのかな…」

大翔、どーゆーことなの?

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「残念だったね」
「んー………でも、ちゃんと目合ったし」
「大翔ずっと笑ってたね」
「……うん」

びっくりした。

鎌田さんの視界に入れるだけでこんなに嬉しいんだって思った。

目を合わせることは怖いけど鎌田さんも笑い返してくれたから。

俺に対して、すごく久しぶりに笑ってくれた気がする。

もう少し

いや、もっと鎌田さんに近づきたい。

君がいるだけで世界はこんなにも煌めく。

.·˖*✩⡱to be continue.·˖*✩⡱