「……そうだろう?なのに今のお前は彼奴を『悲しい思い出』にしようとしている。
彼奴のそれを贈った本当の意味を無視してさ」
そう言うと紫音は傘を僕に持たせて濡れるのも無視して、しゃがみ込む。
そして、紅い華──彼岸花を見つめた。
「……紫音は知っているのか」
「ん?」
「明里がその華を贈った理由を」
傘から堪えきれなくなった大きな雨粒がボタボタと落ちる。
僕は何を言っているんだろう……と思う。
本当は本当は……。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
設定されていません
読み込み中…