降り頻る雨の中。

傘も差さずにポツンと咲いている小さな赤い花を見つめる少年。




「何故……貴女はこの花が好きだと言えたのですか……」




呟く少年が見る小さな赤い花は細い花弁を炎のように開き、水を滴らせている。


こんな風に雨が降っても決して消える事はない赤い花。
それは過去にあったあの惨劇を思い出させるには十分過ぎる材料だ。






(何故……何故……こんな炎を思わせる花なんか──)






しかし、答えは返って来る事はない。何故ならその人はもう──。