「…チッ」 また、負けた。 手元にはマミコがくれた3万のかけらさえない。 仕方ない…帰るか。 うるさいパチ屋を後にし、ゆっくりと歩いて行く。 「寒い…」 そして暗い。 腕時計を見ると、夜の11時をまわっている。 前なら、おそろいの手袋なんかして手ぇつないで歩いてたよな。 「はぁ…」 ため息と共に、白い息が出る。 うるさかった繁華街が、いつの間にか静かになっていた。 もうすぐ、家だ。