「弥生さ~ん、聞いて下さいよ~!」
仕事場の化粧室で化粧をしていると、後輩の奈々が話かけて来た。
「どうしたのよ~?」
「ちょっとお話し聞いてもらっていいですか~…?」
「開店まで結婚あるしね、いいよ。隣り座って。」
大きな鏡が部屋一帯に貼られている前に、あたしが座っていた。その横に奈々を座らせた。
「彼氏がですね~…」
「うん」
ファンデーションを塗りながら、相槌を打つ。
「薬物…やってるみたいなんですよ…」
「……え?」
あたしは、ファンデーションを塗る手を止めた。
「時々あたしんち来る時…すごい変なんです。なんと言うか、すごいうわの空と言うか…名前を呼んでも、ヘラヘラしてて…」


