あのあとから、小泉先輩へパスした時のことが頭から離れないまま土日が過ぎた。


そして今その時のことを、蘭ちゃんにも早速話してみた。


「ええええ!?!?あ、あんた…小泉仁って…此処の人気トップじゃない!?」


珍しく蘭ちゃんも動揺を隠せないって感じで前のめりになった。


聞けば小泉先輩 学園1の人気者で イケメンで、モテ男で 誰にでも分け隔てなく接してて、優しい人だとか。


そんな人気になっちゃうなんて…最強すぎてさすがに近づけないじゃん。


「ていうかあんた、小泉先輩相手に初恋だなんて…なかなか難しいわね…いや、そうでも無いか」


そうでも無い…???
どういうことだろう。考えるように顎に手を当てる蘭に私は聞き返した。


「え、なんで?」


「…いやだって奈緒、あんた美少女だし。えっ、まさか気づいてないの!?!?あんた 学園中から1年に美少女が現れたって大騒動よ」


…は?ますます意味がわからない。その美少女って絶対私じゃなくて蘭だろ、なんて心の中で突っ込みながら 動揺は高まるばかり。


「いやいやいや、それ蘭のことでしょ?!なんで私なの?」


「…既にあんたのこと狙ってる奴も少なくないみたい。先輩達もあんたのこと気にしてるらしいし。気づいてないようだけど、あんたはすっっっごく美人よ?」


「え、あ〜…ありがとう?」


突然蘭が褒めてくれたのに戸惑ったけど、美人だって褒めてくれたのが純粋に嬉しくて、疑問形になっちゃったけどありがとうと言った。


「まぁ、あんたは可愛いから もしかしたら小泉先輩も落とせるよってことよ」


「は!?ないないない、そうだと嬉しい限りだけど!!」


慌てふためく私を見て、蘭は笑ってそういうところ、と言った。