「ここら辺かな…?」

付近まで来て、体験の間に1回だけ来た道を思いだす。


ここだ、と思って曲がった時だった。


「…!!!!」


水道の1番左端、私から見て一番奥の所に氷川先輩と、小泉先輩がいた。


他には誰もいない。


楽しそうに話していた2人のうち、氷川先輩がちらっとこっちを見て目が合った。


その視線に気づいたのか小泉先輩も自然とこっちを見た。


「!!」


反射的に頭を下げた。1番手前の 先輩たちから1番離れた水道を使う。


やばい、やばい…氷川先輩と小泉先輩がいる。
目が合っちゃった…どうしよう、上手く対応できなかったし挨拶した方が良かったのかな


「…君って女バスの1年の子だよね」


突然聞こえてきた声に思わず顔を上げてそっちを向く。

小泉先輩の声だった。


「俺、こないだの金曜、ゲームの時君にボール渡してもらったんだけどその時の子だよね?俺のこと覚えてる?」


あの時の事、小泉先輩は覚えてくれていたんだ。
やばい、なんとも言えないぐらい嬉しいんだけど…!!

「は、はい…!覚えてます!」


「えぇー嬉しい!!ありがとね!俺は小泉仁、こいつは」


太陽のような笑顔を浮かべて名乗ってくれた小泉先輩。氷川先輩の方を指すと 先に氷川先輩が声を出した


「俺はね〜氷川悠汰って言うんだ〜、君肌すべっすべじゃん!!かぁわいい〜!!」


なんで言ってこっちに来たと思ったら、私の頬をつまんでむにむにし始めた。


「ひぇっ…!?!?」


「おい悠汰。怖がらせてんなよ〜ビックリするだろ」


氷川先輩はちょっとチャラめの人なんだな…
どうりでそんな感じはしてたけど。