俺が暑い部屋で頭を抱えるようになる1か月前、それは起きた。

突然だけど俺にはよく2人で話す友人がいた。そいつの名前は之通(ユキミチ)。周りからは変な名前とよく言われる之通の名前は親が好きなバンドの曲から取ったものだそうで、本人は「親が好きな物の名前つけてくれたって事は俺は相当大事に思われてるって事じゃん」と気に入っているらしい。
そんな友人は当時の中学生にしては変わっていてよく俺に同性愛についてとか、ジェンダーについてとかの話をしていた。
もしかしたらこいつのおかげで俺はそういう事に柔軟になったんじゃないかと思う。
そして俺が同性も好きになれるんじゃないかと思うようになったのはこいつのせい。

1ヶ月前のある日の体育、この時の授業は体育だった。
之通も俺も口を動かすのは好きだが、体を動かすのは苦手で、自分達の試合後は早々に日陰に退散していた。
いつものように之通の話を聞いていた時、ふと俺は之通の人より体操着から伸びた脚を見てしまった。
追加で説明しておくと之通は人よりも背が高くてスラッとしていて、背が低い俺にとっては憧れでもあった。
そんな之通の脚はこの時の夏の暑過ぎる熱とサッカーの疲れのせいでボーッとした俺には魅力的に映った。
ついでにボーッとしてたせいで俺はこんなことを口走った。

「抱きしめたいなー。」
「は?いきなりなんだよ。」

確かには?である。
俺だってそう思った。さぁ、どうするいくら寛容とは言え、脚を抱きしめたいなんて正直に話せば引かれる事は確実だ、と若干パニクった俺は咄嗟に嘘をついた。

「あ、いや、ほら、1組!1組の晴香(ハルカ)ちゃん。結構俺タイプで抱きしめたら柔らかそうだなーって。」
「お前……いくら暑いからって昼間っから発情か?」
「うるせぇよ。俺のこの気持ちは完全ピュアな尊い気持ちだよ。つうか今なんの話ししてたっけ?」
「俺らさ、言葉のキャッチボール出来なすぎじゃね?」
なんとか話を逸らした俺はずっと頭の中でなんでこんな事を思ったのか考えていた。

そしてあのサイトにたどり着く事になる。