ここから連れ出して

ある日、私は決心した。

この世界と決別することを。

散々イメトレはしたし、時が来たんだ。
最後のメッセージとして手紙を書いた。

本当に全てが終わるんだ。
解放感と罪悪感が入り混じる。

でも、最後に心残りがあった。

それは…
人と向き合ってわかり合いたかった。
心から信じてみたかった。
お互いが思い合える。優しさで満ち溢れた世界が存在する事を知りたかった。

私が知ることができなかった、楽しいって気持ちを知りたかった。

心の底から楽しいって一度でいいから感じたかった。

心の声は儚くかき消される。
誰も気づいてはくれないのはいつものことだから、期待なんてしない。

けど…神様、最後のお願いです。
もう逃げたりしないから、
全てを受け止めるから、
全ての罪を償うから、だから…

「助けて…」

今にも消えそうな声で呟いた。

「どうしたの?」
そう、優しい声が聞こえた。振り返ると見慣れないお兄さんがいた。いつもなら、警戒心と恐怖と不安でいっぱいになるのに、戸惑ってはいたけど、なぜか落ち着いていた。

「えっ…。」
「どうしたの?自分でよければ話聞くよ。」
「ありがとうございます。」

驚きでいっぱいだった。だって、誰も気づいてくれないと思ってたから、心の声なんて届くはずないって…そう思ってたから。
こんな私の声を拾ってくれる人がいた事実で、もう十分救われた。見ず知らずの人に時間を割いてくれるなんて、自分のこともあるはずなのに…優しすぎるよ…。


私はなんで、泣いてるのだろう。
そっか、嬉しいんだ。
心の底から嬉しくて、涙が溢れ出してるんだ。こんな世界にもあったんだね。温かい気持ちが…。

生きててよかった。

ありがとう。