おそらく人の手を次々とリレーされることで、生を確保できた、ということなのだろう。

裏ではターゲットにされる子供を護り逃がす組織が存在したらしい。
エディに直接訊けるわけも無いプライベートだ。立ち入る野暮はしない。
会う度違う保護者が隣りに居たエディ。
ヴィックが見ていて察知しただけだ。

ヴィック自身は身に危険が及ぶような外見的特徴は無く、至極平凡に育ったのだ。
憶測以外は無い。


微々たる“セーン”としての能力以外は………



この世界で口にすることが憚られる、その忌むべき能力をエディの存在が刺激するのだ。
彼には何かがある。

その思いがヴィックを捕らえて放さない。

もう少しでいいから、能力が強ければ心の奥底を泡立たせる何かが掴めるか知れないのに…


ふ、と浮かぶ考えをヴィックは慌てて打ち消した。


能力は強くても厄介なだけだ。
これ以上の目覚めは望めばきっと罰が当たる。


相当な罰が………




D.R.C.に目をやる。
先程から10分も過ぎていなかった。

そういえば、エディはD.R.C.を身に付けていない。