Ｒｉｇｌｅ’ｓ

高級感が増したような気がして、一時も無駄にしてはいけない任務を帯びた自分を想像したりもしてみる。
メカニカルが趣味ならば一度は憧れるメーカーと繋がっているという“特別”が余韻に浸らせたのだ。


しかし、浮かれて帰路に付きかけたとき、現実が脳裏に呼び戻され思い出したのだ。

ここ数日、自宅に泊まっていたエディの体調が良くないことを。

何千とも思える商品を乗せて並ぶ整然とした棚から、滅多に買ったことの無い一つを選ぶのは骨の折れる事のはずだ。

だが、ヴィックにはさほど苦になる風も無い。


エディに会ったのは、もう随分前だ。
未だこの世界の矛盾に気付きもせずに街を歩けた小さな子供の頃。
その時は、ウィッシュ・サウも政府の暴挙というべき筋違いの戒厳令に否応無く従わされていた。
大規模なリグルきっての狩りを強行していたのだ。
エディはその外見的特徴から恰好のターゲット（標的）たらしめられた一人だ。

当時子供だったこともあり良くは知らないが、エディは短期間（短くて数日）で入れ替わる複数の大人達と街を流れ歩いて居たらしい。