デジタル進化著しいリグルでは、都市部も農漁村も区別無く普及しているモバイル(媒体)がある。
D.R.C.(デジタル・リレーションズ・コミュニケーター)という軽量で薄いバングル状の、腕時計のような代物。幅は6、7cmほどで、遠距離通信が可能だ。通信は無線形式が主だが、街路に設置された公衆通信BOXから広範囲ネットワークにプラグイン可能で必要に応じて緊急通信もカバー出来る。

テレビ電話のように対面式動画通信も出来る。
マルチさが受けているのだ。
幾通りものパターンを組む手段は高密度回路チップの組み合わせで実現している。
幾百幾千の機能を自在に組めるので、この世に一つとして同じ機能を搭載したプレートは存在しないだろうと信じられている。

ドラッグストアには先日依頼したD.R.C.の機能付加が完了したと連絡を受け、引き取りに来たのだった。

リグルきっての頭脳を誇る技術者集団・アウトローのネット開発講座テキストローダーチップが届くのを首を長くして待ったのだ。
遂に手首に嵌めた見慣れたD.R.C.画面の黒地に虹色のロール画像が流れると、ヴィックには小躍りしたいくらいの日になった。