磨き上げられた優雅なカーブを描く手摺に軽い身のこなしで飛び乗って滑り降りそうな予想を裏切って、―――エディを幾つのガキだと思っているのかと気を悪くされそうだが、エディはたまにそういう予測の付かない事をしてこちらの反応を楽しんでいるようなところがある。だけど、決して相手が不快に成らない気遣いは上手いのだ。憎まれないのもエディの天性なんだろう―――背中で手を振るとさっさと客室に引き上げた。


十年来の再会にも打ち解ける以前に壁を打ち立てられた挙句、持前の好奇心も人一倍の人懐こさも本領発揮せぬままのエディに気持ちを置き去られたわけだ。

一抹どころか二抹も三抹もの不安を抱きながら、エディとオレのウィッシュ・サウでの生活が始まることになった。