Ｒｉｇｌｅ’ｓ

しがみつくように小銃を構えるヘリアスの様子に、フ、と口元に笑みを浮かべると、近くにある高層ビル街にしては低い階数の屋上へ、機体を投げ出すように強引に誘導する。
急激に降下し始めた機体を、入り組んだパイプ・ラインとビルの林の間に追い切れず、サポート役の二人は舌打ちする。

「俺達は、お前とは違う！ 俺達…、」

呼吸がままならないように消えかける声音にふと気付いたように目を開き、思い直したように顔を上げる。

「少なくとも俺は、お前とは違うんだ。だから…」

ドンンッ

重い音と共に黒っぽいコンクリートの床に打ち付けられ傾いた機体から、二人は転がり落ちた。
周囲の壁面から降り注ぐ緑やピンクや青や白の光のなかで、ヘルメットを飛ばされたエディの髪が赤く浮かび上がる。
標準サイズのスーツが余る、自分より遥かに華奢なエディの姿にへリアスは怯える。

「来るな」

「へリアス、傷付ける気は無い」

「お前はっ」

圧してくるようなエディの気配を虚勢で遮るようにヘリアスが叫んだその時、突然、真昼の太陽を凌ぐかと思うほどの白色光が、決して大きくないビルを挟むようにコンクリートの地平の両側から昇る。

「民間警察か」

パトロール・カーと常に一台は行動を伴にする事故処理車輛のサーチライトだ。