カラフルな色彩が舞うビルの壁面に沿うように高度を上げる2台は7、8mの車間を保ったまま高層へ昇ってゆく。
巨大な幾何学的な形の柱達と高速車用走路の創る複雑な空間を自在に潜り抜けるスリルを満喫している一団を追っているのだ。一台のフリットバイクを見定めると、タンデムの後方の少年はブーツの外側を両手でタッチする。靴の裏でシュンッと音を立てて空気が吹き出す。簡易ジェット内蔵のエア・スケート用なのだ。
「気を付けろよ」
「分かってるよ。借りモンに傷付けないって」
「そうじゃなくて」
操縦に気を盗られて不機嫌気味な少年を遮り
「傷付けないってことは俺も無事ってことさ」
パイプ状の走路は屋根がなだらかな弧を描いている。
その上方 2、3m、交通法規に抵触しないギリギリの距離に機体を寄せ、シールドを一時解除する。足元に猛スピードで横切る車体の影と残光の描く川に怯みもしないで、エア・スケート用ブーツの少年は、ひらりと飛び降りる。
二人の目の前で、見守る影がカン、と軽い音を立ててバランス良く着地したのを見届ける。
巨大な幾何学的な形の柱達と高速車用走路の創る複雑な空間を自在に潜り抜けるスリルを満喫している一団を追っているのだ。一台のフリットバイクを見定めると、タンデムの後方の少年はブーツの外側を両手でタッチする。靴の裏でシュンッと音を立てて空気が吹き出す。簡易ジェット内蔵のエア・スケート用なのだ。
「気を付けろよ」
「分かってるよ。借りモンに傷付けないって」
「そうじゃなくて」
操縦に気を盗られて不機嫌気味な少年を遮り
「傷付けないってことは俺も無事ってことさ」
パイプ状の走路は屋根がなだらかな弧を描いている。
その上方 2、3m、交通法規に抵触しないギリギリの距離に機体を寄せ、シールドを一時解除する。足元に猛スピードで横切る車体の影と残光の描く川に怯みもしないで、エア・スケート用ブーツの少年は、ひらりと飛び降りる。
二人の目の前で、見守る影がカン、と軽い音を立ててバランス良く着地したのを見届ける。
