ナイトフリー・フライトはスポーツだという若者達。見守る大人達からの批判は暴走行為自体には比較的集まらない。
高価なバイクやそれに付随する高性能スーツやブーツ、ヘルメットを買い与えるのは主に親世代。メカニカルな産業が進むこの社会では、この購買力が経済を大きく支えてもいる。
その自負もあって、問題が騒音や操縦中の危険行為であっても不満は製品の責任を負う企業に向けられるのだろう。


夜の街の喧騒。
遠くのクラクションの音。混雑注意を促す電光掲示板の点滅。地上の明かりに照らし出される無機的なビルの群像は柔らかさを纏い魅力を磨いている。

フリット(飛翔)・バイクを操る一群は、我知らず観光客誘致に一役買っているのかも知れない。


ビル群の間を走破した一団は迷わずに湾岸へ向かう。
自由な発想で形作られた遊び心のあるビルを目指すのだ。
港湾都市の側面も持つウィッシュ・サウは湾岸地帯に自由契約制の試験建築用地を設けている。常に引合いが来ていて建築ラッシュが起きている。新進気鋭の若手が有利だが、着手するまで5年待ちも珍しくない。