白い光に視界が満たされている。
辺りを見渡しても、陰りの一つも無い。
どこからこの光がくるのか解らないが、自分の足元にさえ影が落ちない。
空間全体が光を放っているのか。

何時から聞こえていたのか、雑踏のようなラジオ・ノイズのような音の弾丸が一瞬で耳を劈くようなクレシェンドして、切れる。





静寂が不安を煽る。






耳を塞いでも、先程の音は鼓膜を振わせてはいなかったかもしれない可能性を植付けただけだ。





――― 目を 醒まして


消え入りそうに、心に届いた。

振り返ると、微かに人らしき存在の気配を感じた。

トレース出来るかも知れない。





――― 必ず 環(かえ)って来て
貴方は この世界で唯一の ………



試みる隙を与えずに強い思念だけを押し付けて、

唐突に気配は消えた。



辺りはいつか暮れる空のような蒼に墜ちていた。






何だったのだろう




思う間に、意識が遠のいていった