だが、それは踏み越えてはいけない一線なのだろうとは思う。

生来の職を身に持つ者も居る一方、皆目定まらない指針に揺れ惑う者もある。どんな道を選択しても必ず迷う時期もあるだろう。
僕等はまだまだ発展途上の、可能性の塊の年代だ。


種別毎に色別されたブロックの間を歩き馴れたように案内も無しに進んで、一つの棚の前で足を止める。棚の上から三段めから包みを一つ迷い無く選ぶとレジへ急いだ。
ヴィックには分かるのだ。
目指す物があるだろう場所が。
勘より研ぎ澄まされた、生来の透視という能力で。



支払いを済ませて帰路に着く頃には、先程の風はすっかり静まっていた。

まるで、これから起きる嵐を予感させまいとするように。