“明るい陽射しの下で希望通りの休暇を満喫出来るのはウィッシュ・サウ(夢が成就する、の意:リグル語→宇宙連邦共通語)だけ”

潮の香を含んだ空気は限り無く澄んでいる。


ウィッシュ・サウはリグル星の西の大陸の中緯度に位置する、一年を通して暖かい港町だ。
ほぼ赤道の下だが、太陽パシャクの大きさと永い経年変化で大地に熱を送る力は強力とはいい難い。
春先は肌を露出していると薄ら寒い気がする。

港周辺のビルの一角は、惑星入植時代当初の建築家の新作をの場を随時提供し展開するという計画都市開発コンセプトから、湾岸埋立て期間が終了してからも目ま狂しく取り壊し建造するイタチごっこを繰り返している。

それさえも、遊覧船やツアー客を溢れんばかりに積んだカートやシャトルで楽しむ観光名所の名物扱いしてしまう商魂にも一旗挙げたい気分だ。

海辺ではリゾート開発も盛んで、リグル中は元より辺境惑星観光客にも評判が良い。
何でも入植による惑星開拓がこれほどヒューマノイドタイプの住人に合う例は珍しいそうだ。


惑星開拓を担ったクルーは環境には徹底した規制を敷いて、データ管理にひたすら励んだらしい。