「キャロルおはよー。」

「おはようございます。」

今日も朝からレオンがやって来る。

あの日の説教はなかった事になったらしい。

いつもの様に愛用のクッションに座り、書類をテーブルに広げる。

「あっそう言えばこれキャロルに手紙。
さっき離宮の前で渡された。」

「手紙ですか?」

封筒を2枚受け取る。

差出人はファンティーヌ嬢とアグネス嬢であった。

「…誰でしたっけ?」

「あれだろ?
3大公爵家の仲悪い2家の令嬢。」

あーそんなのもいたなあと思いながら封筒を開く。

「両方とも茶会の誘いですね。」

「あーなるほどー。
そろそろどっちに付くのか決めろって事か。」

「ん?
付く?」

「今離宮内では公爵家のどちらかが王妃に決まるだろうって空気になってんだ。
だから今離宮は真っ二つの勢力に分かれてる。
どちらに付くのか決めてないのは後はもうキャロル位だからな。
この茶会でどちらの派閥に入るのか決めろって事だろ。」

なるほど、離宮が荒れているというのは本当だったらしい。

「ふむ…。
因みにレオンのオススメはどちらの派閥ですか?」

「オススメなんてないけどなあ…。
強いて言えば今3対2でアグネス嬢の派閥が劣勢だからそっちに入ればこう、いい感じに半分だなとは思う。」

「へえ。
じゃあアグネス嬢の茶会に行きますかね。」

「あっまじで参加すんの?」

「立場を表明しろって事ですし公爵家からの誘いですから断われませんよ。
良い天気ですし優雅にお茶会ってのも悪くないです。」

「キャロルがまともに茶会してんの見た事ないけどな。」

「あとまあぶっちゃけ今日暇なんで。」

「なるほど。」

俺もついて行こーとレオンがテーブルの上に置かれた書類に手を付ける。

キャロルはレオンの持ってきたサンドイッチを齧った。

「あれ?
そう言えば俺今日どっちで寝る日だっけ?」

「いや知りませんよ。」

「まあそうだよなー。
茶会ついでにリアムに聞いとこ。」

あの日ルシウスは宣言した通りちょくちょくこの塔に寝に来る様になった。

実は本当に毎晩の様に寝込みを襲われ睡眠不足が限界突破していたらしく、今までレオンとルシウスが部屋を入れ替わったりしてやり過ごしたりしていたがそれもバレだした為、ローテーションの中にキャロルの部屋も組み込まれてしまったのだ。