「えっキャロルさんってそうだったの?」

「キャロル様が…え…。」

「いやあのちょっと待って。
失言でした。
ほんと聞いて下さい。」

キャロルが不味いと感じ慌てて止めるがアンジェリカと彩花嬢の勘違いは止まらない。

「ていうかそっか。
そもそも唯一のお手付きってキャロルさんだもんね。
全然そんな雰囲気ないし忘れてたけど最大の敵だよね。」

「そうでしたわ…。
私とした事が1番危険な敵を放置していたなんて…。」

「いやちょっと聞いて下さい。
多分言葉の解釈に物凄い誤差が生じてます。」

キャロルの言葉を無視して2人の勘違いは加速してしまう。

ルシウスに何とかしてもらおうと彼を見る。

口元を抑えて俯いていた。

白金色の髪から覗く耳が赤い。

最悪だ。

多分こいつが1番勘違いしている。

「…まじでか。」

最悪の展開に一瞬意識を飛ばしていると休み時間の終わりを告げる鐘が鳴る。

聖女がわあわあ言いながらも教室に帰って行く。

妹も昼休み聞かせて下さいませと睨みながら既に体を教卓に向けていた。

「…何でこうなるんですかね。」

「…キャロルは言葉が足りないんじゃないか?」

どんまいと事実を知っているレオンがキャロルの肩を叩く。

キャロルは小春日和の陽気なのに何故か背筋に寒さを感じながらおじいちゃん先生の講義に耳を傾けた。



「主人公タイプにヤキモチを焼いていた?
変なのー。」

昼休みのテラス席でようやく誤解を解く事が出来キャロルはホッと胸を撫で下ろした。

毎時間起こるルシウスの取り合いなんぞに巻き込まれたくはない。

面倒臭い事この上ない。

「まあ確かにキャロル様は傍から見ていてレオン様と仲が宜しいですものね。
あっそれではあの噂は本当なんですの?」

「噂?」

「将来的にキャロル様とレオン様が婚姻を結ぶ為にお渡りは殿下が仕組まれたという噂ですわ。」

「ぶふぉっ!!!」

「えっ嘘何それ!
そうなのキャロルさん?!」

キャロルの横でレオンがむせ返っている。

大丈夫だろうか。

キャロルに尋ねておきながら妹と彩花嬢は2人で盛り上がっている。

リアムは居た堪れないと言う表情でぽんぽんとルシウスの背中を叩いていた。

全員の反応がバラバラ過ぎて面白い。