「おかしいです。
読んだ小説だと親友やら友達やら選り取りみどり。
主人公に至っては男性数名に取り合われ逆ハーレムって奴を満喫していたと言うのに。
私まだ知り合いの1人も増えてませんよ。」

「あー、逆ハーレムは分からんがハーレムなら目の前の殿下が築いてるのがそれじゃね?」

レオンが顎でルシウスを刺す。

両腕を聖女と妹に取られている上王宮に帰ればあと3人程増えるのだ。

「んで親友ポジションが俺かリアムだろ?」

「主人公っぽいですね。
じゃあ私のポジションは…。」

「主人公のライバルとかその辺じゃね?
殿下に本気で真正面から殺しにかかる令嬢なんて俺初めて見たし。」

「まさかの悪役ポジション。」

「まあ悪役って言うか仲良いライバル設定のやつあるだろ?
あの辺だな。
本物の悪役とかライバルポジションは第二王子か王妃辺りだろ。」

「ああなるほど。
噛ませ犬ポジションですね。」

自分で言いながら凹んでくる。

キャロルは主人公にはなれないらしい。

目の前の主人公タイプのこの男が憎い。

憎らしく妬ましい。

キャロルの嫉妬の視線を感じたのかルシウスが振り向く。

「…なんだいその顔。」

「お気になさらず。」

何故こいつは主人公になり得るのにキャロルはなれないのだ。

性格はキャロルよりルシウスの方が絶対悪い。

知能や魔力はまあ認めるがキャロルだって高いはずだ。

決定的な違いはなんなのか。

「…見た目と地位か。
やっぱり顔と金が全てですか畜生。」

「キャロル大丈夫だぞ。
キャロルだって別にブスじゃないからな。
中の上位だから気にするなよな。
金はまあ王族に張り合っても無駄だ。」

「全然慰めになってないです。」

キャロルはブスッたれながら頬杖を付く。

大騒ぎしている2人に挟まれていてレオンとキャロルの会話は聞こえないのかルシウスは少し考えた後意地悪そうに笑う。

「…もしかしてヤキモチかい?」

「…ヤキモチねえ。」

キャロルはブスッたれたまま脳内の辞書を捲る。

嫉妬、妬み、悋気だったか。

まあその通りではある。

「なんてね冗だ」

「まあそうですね。
間違ってないです。」

キャロルが答えると一瞬シンと静まり返った。

あれだけ騒いでいたアンジェリカと彩花嬢まで固まっている。

「…え?」