「…すいません、ご迷惑をおかけして。」

しょぼくれているキャロルの肩をポンとアグネス嬢が叩く。

「大丈夫ですわよキャロル様。
最悪ダンスの点数が悪くてもキャロル様の成績なら1番上のAクラスは確実ですもの。
気楽にいきましょう。
ね?」

アグネス嬢に励まされるがキャロルの気分は上昇しない。

完璧なご令嬢であるアグネス嬢に教わっておいてダンスの成績が下位など許されるはずがないのだ。

浮かない顔をしているキャロルに困った顔をしながらアグネス嬢は微笑む。

「私だって入学試験の魔術テストはボロボロでしたのよ?
人間得手不得手はございますもの。
仕方ありませんわ。」

「そうですわよキャロル様!
今回の課題曲は難易度が高いと言われてますしそんな落ち込まないで下さいませ!」

「…ありがとうございます。
すいませんもう一度お願いします。」

キャロルは頬を叩いて立ち上がった。

気合いを入れろキャロル。

王妃様と戦う前からこんな調子でどうする。

レオンに相手をして貰いながら必死で足を動かす。

体を動かして脳内のごちゃごちゃ等今は置いておこう。

考えたって仕方がないのだ。

キャロルはいつまでも慣れないヒールをカツカツ鳴らしながら雑念を吹き飛ばす様に何度も踊ったのだった。




…結果はやはりと言うか奮わなかったが。

「座学が500点満点中499点。
武術100点満点中97点。
魔術110点。
…なあこの10点上乗せってなんなんだ?」

「さあ?」

「…マナー98点。
ダンス45点。
総合900点中849点。
すげえなこれ。
ダンスが断トツで足引っ張ってんじゃねえか。」

「やはり無理でしたね。
そういうレオンはどうだったんです?」

キャロルの問い掛けにレオンはピラリとテスト結果の用紙を手渡す。

「えーっと
座学490点、武術92点、魔術89点、マナー100点、ダンス96点。
総合867点。
うわー負けた。」

「ダンスだけで51点差があるからな。
じゃなきゃキャロルの勝ちだろ。」

「いや負けは負けですよ。」

「因みに殿下は総合921点だったぞ。」

「21点上乗せって何やったんですかね?
まああれは人間じゃないので気にしてません。」

2人はくっちゃべりながら結果用紙をくずかごに投げ入れる。

クラス分けは夏季休暇まで分からないのだからもうどうにもなるまい。

「同じクラスだといーよなー。」

「私は微妙臭いですけどね。」

「いや大丈夫だろ。」