「琉羽は昔から変わんねーな」
さっきまで怒っていたかと思えば、今度はクシャッと表情をゆるめる慎太郎。
変わらないその笑顔がまぶしすぎて、クラクラする。
慎太郎の中のわたしは、いったいどんななんだろう。
変わらないって、なにを根拠に言ってるの。
「そんなこと、ない」
わたしは変わった。変わったんだよ。
「六月の終わり頃から『ただ話してても面白くないから』っていう理由だけで、四人組のひとりを……菜月のことをシカトするようになった……っ。わたしは、ただ優里や美鈴に合わせて一緒に菜月をシカトしてた」
「菜月って、近藤のこと……?」
目を見開く慎太郎に小さく頷いて返事をする。
こんなに汚くて醜い自分を晒したくはない。
でも、慎太郎の中のわたしのイメージを取っぱらってやりたかった。
わたしは慎太郎のように綺麗な人間じゃないし、純粋でもない。
ズルくて醜くて黒くて、そんなわたしが慎太郎の隣にいていいはずがないんだよ。
「わたしは、菜月みたいな目に遭うのが嫌だった。自分に火の粉が降りかからないように、優里や美鈴に合わせて楽しくもないのに笑ってたんだよ。菜月がシカトされたり嫌がらせされてるのを見て、自分じゃなくてよかったって、ホッとしてた。だから……わたしは最低なんだよ。昔と同じじゃないの。変わったの」
「琉羽は今の自分を客観的に見てどう思ってるんだよ?」
「どうって、最低でしかないよ、こんな自分。わたし、なにやってるんだろうって……そんなことばっかり考えてた」
ズルくて汚くて、弱くて情けない。
そんな自分が嫌で仕方ない。
菜月のことを見ないフリして逃げてた自分にも腹が立つ。今になってようやくそう思えた。
「自分のしたことを客観的に見て、ちゃんと反省できてんじゃん」
「え?」
「後悔してるんだろ? 顔に書いてある」
「……っ」



