もしも明日があるのなら、君に好きだと伝えたかった。


薄暗い中取り残されたわたしたち。

「し、慎太郎! 背中、大丈夫? ほんとにただの水だったの?」
「ああ、なんともねーよ。それよりおまえ、こんな危ないことして、なにかあったらどうすんだよ?」

口をへの字に曲げて不機嫌な慎太郎は、なぜか怒っている。

「慎太郎こそ、あれが本物の硝酸だったらって考えなかったの? それなのにいきなり飛び出してきて、どれだけバカなのよ!」

わたしのせいで慎太郎になにかあったらって考えただけでゾッとする。

「俺は男だからべつに本物だっていいんだよ。そばで見てんのに、琉羽を守れないほうがよっぽど悔しい」
「な……っ」

なに、言ってんの。

バカだよ、慎太郎は。どこまで優しいの。まっすぐなの。

慎太郎のその純粋さが時々まぶしかった。

まぶしくて、思わず目をそらしてしまいたくなる。

一緒にいると自分のズルさばかりが気になって、苦しくなるから。

わたしはダメな奴なんだって、嫌でも思い知らされる。

真っ白じゃないわたしが慎太郎の隣に並ぶのは、とてもいけないことをしているみたいに思えて気が引ける。